第5回サイエンスコミュニケーションウェビナー
サマリー
心理学者、起業する
第6回サイエンスコミュニケーションウェビナーはイデアラボ社・澤井大樹先生にお越し頂き、『心理学者、企業する』というテーマで1時間たっぷりとお話し頂きました。過去5回のウェビナーと一味、今回はビジネスという要素が加わった事でより研究と世間との関わりが 強く印象に残る回となりました。今回多大なご協力を頂きました澤井先生、井原先生、財満先生、そしてご参加頂いた皆さま、誠にありがとうございました。
第6回司会進行役 三浦綾音
当日の雰囲気
深層心理テストやメンタリストなど、拡大解釈や科学的エビデンスの欠如などで信頼性に欠け る「ポピュラー心理学」とは違い、物理量と心理量の差や個人の心理量の差などをデータ化することによって心(の一部)を科学することができる「サイエンスとしての心理学」に加え、その「サイエンスとしての心理学」をイデアラボ社はどうやって産業界へ繋げているのか、また情報やデータはどう見極めるべきなのかについてお話し頂きました。今回も大変好評価を頂き、中には『大学の研究者としてではなく、起業するという選択肢もあるという事が新しかった』という参加者の方からのお声もありました。
パネルディスカッション
*本文は、質疑応答の内容を三浦がまとめたものです。
心理学者の具体的なお仕事は何ですか?
研究の方面で言うと、論文を読んで調査や実験の研究計画を立てて実行し、それで得たデータを分析・考察して論文を書く、というのが主な仕事です。大学の先生だと授業をしたり、学生 さんの指導をしたり、あとは論文の査読や学会の委員などがあったりします
。
大学では心理学を学びたいと思っているのですが、
高校生のうちにやっていた方が良いことや
読んでおいた方が良い本はありますか?
心理学は人文学的な側面がありつつ、サイエンス的方法論でアプローチする学問なので、どんな本でもタメになります。小説でも映画でも演劇でも、興味のある事は何でも触れてみて下さい。やっておくべき事は学校の勉強です。心理学は統計を始め、三角関数や微分・積分など数学をたくさん使います。分野によっては論文もほぼ英語で読む事になるので、英語もやっておかなければいけません。たとえば、私は脳波計測が専門なのですが、人体に関するデータをとるので生物学が必要ですし、脳波は電気活動なので電気(物理)も勉強しないといけません。そもそも体内で電気が発生するメカニズムを理解するには化学も必要です。なので、中学や高校の勉強が心理学の礎になります。
研究者 / 起業家になってよかった事は何ですか?
やってみたら向いてました(笑)。経営業務も毎日楽しいですし、お客さんと一緒に研究することも楽しいです。社員も毎日楽しんでくれているように感じるので、それも良かったなと思います。なのでやってみたら向いていた、ということが一番良かった事ですね。