2021/09/04 開催
タイトル 「たまたまイカを研究している人の話」
第5回サイエンスコミュニケーションウェビナー
サマリー
学生団体CDSFR主催・第5回サイエンスコミュニケーションウェビナーの当日レポートです。新学期が始まってすぐの開催で、大学での研究の世界をのぞき見した事で良い刺激となり、皆様にとっても良いスタートダッシュとなったのではないでしょうか。今回多大なご協力を下さった足立先生、財満先生、そしてご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。
第5回サイエンスコミュニケーションウェビナー司会進行役 三浦綾音
高知大学農林海洋科学部教授
足立亨介教授
私は高知大学農林海洋科学部海洋資源科学科というところで働いています。専門は水産物利用学、水圏生物工学という分野でイカ類、甲殻類、深海生物の持つ物質の活用法について研究しています。例えば、イカの生殖システムは独特で・・・というと、この人は海や生物がよほど好きなのだろうと普通は思われます。確かに私は元々釣り少年でしたし、今も海の近くにある職場で自分なりに楽しんで日々過ごしています。かといって、「私はXXの研究者です」とか「私はYY学者です」とは、こそばゆいというか、自分から言うことが出来ません(本当はこっちの方がかっこいいのですが)。今回は単なる釣り少年だった人間が、なんでこんな考えを持ちながら今に至るのか?を私の報告例を紹介しながらお話しさせて頂きます。その上で「大学とは何か?」「研究とは何か?」を皆さんと考えること出来たらと思います。
当日の雰囲気
第5回サイエンスコミュニケーションウェビナーではイカの大まかな分類、イカの受精システム、受精に必要とされる卵膨張を誘発する物質の生化学的アプローチによる特定プロセス等についてお話し頂き、参加された皆様から多数のご好評を頂きました。今回は大学での生活を垣間見れた回となり、「その厳しさにたじろいだ」という参加者の方からのお声もありましたが、「なんとかなるので楽観的でいればいい」という足立先生のお言葉は大きな励みとなりました。
パネルディスカッション
*本文は、質疑応答の内容を三浦がまとめたものです。
研究される中で楽しい・やっていて良かったと感じられる事は何ですか
これまでの経験や知識などから「こうすればああなるのではないか」と思った条件を試してみて、その結果が思った通りに出た時の小さな「よっしゃ」と言う達成感が、研究をする中で年に数回あります。それが私が研究を続ける理由だと思います。
逆に苦労されるような事はありますか
研究者は稼ぐことを主とした職業ではなく、特に20-30代前半は清貧にはなるかもしれません。ただ、科学者のお金に対する考えも多様化しているので、皆さんの時代だとまた話は変わってくるのではないかと思います。あとは、研究者には能力も高く、人間的にも良い人だけれども、コミュニケーション能力が低い人が多いので、意見を一つにまとめる際など時々苦労する時がありますね(笑)。
研究のテーマの決め方を教えて下さい
ある程度適当に決めています。まず自分が面白いと思った事・ワクワクする事です。あとは現実とのバランスが重要と考えています。
先生のご専門以外の分野の研究者の方々とコラボレーションされる事はありますか
あります。イカやカニの研究ではマクロな生物学を専門とする研究者や、物理学者や医学の研究者とコラボレーションしています。ただたくさんの人と研究するよりはさっと一人で研究したほうが独自性がでて面白いことができるのではという気持ちも最近はあります。